孤独死の遺族に2
取るものもとりあえず空港へ
幼稚園から戻った子供達に状況を説明し、急いでパッキングした私たちは、空港へ向かった。空港までは車で早くても1時間強。長期滞在も考え、電車で行った。
と、思う。思い出そうとしても、飛行機に乗りこみ、日の落ちかかった滑走路を見つめていた記憶が鮮明すぎて、他は覚えていない。
指定された警察署にたどり着いたのは、最初の電話をとった1時半から6時間も経っていた。
亡骸とご対面かとドキドキしていたが、
状態が恐ろしく悪いそうで、見ない方がいいと言われた。
死亡推定は、1ヶ月前らしい。初夏であったため、きつい状態なのは察しがつく。
すぐに葬儀屋を手配するよう、分厚い電話帳を渡される。
タブレットが出回っていない時期だったため、ノートパソコンを持参してくればよかったと心から後悔した。
そうこうしているうちに、地元の親戚が集まってきた。
遠くにいる娘がすぐに来られるとは思わなかったようだ。それと一刻も早く、遺体を引き取って欲しいということか。
親戚いとこ2人と伯母とも、30年振りのご対面だったのだ。
警察から状況を説明された。
一番初めにやらされたことは、鍵屋を手配して部屋を開けたので、鍵屋の支払い1万円を払わされたのだった。席に座らないうちに、間髪入れずといったタイミングで請求されたのだ。(ドラマを見ているようだったが、ドラマでは鍵屋代の請求シーンを見たことがない)
父のマンションには足の踏み場のないほど荷物が散乱していたため、当初、すぐに部屋の中に入ることができなかったらしい。いわゆる、ゴミ屋敷化しているということだ。
そのマンションの近所の人に長年迷惑をかけていたということ、その人たちが、おかしいと思って通報してくれたということだった。
明日にでも、私にきてもらいたいと言っていると連絡先のメモを渡される。
事件性はないのでしょうか?というありふれた質問に、
ないと即答される。
なぜ?でしょうか。解剖もしないのですか?一応したいのですが・・・。
解剖の費用が20万円から、田舎なので解剖のできる病院までの移送費用がさらにかかると脅され?た。撃沈である。
このような衝撃的な説明を聞かされ、こちらも20年も父と音信不通だったのでショックの度合いも大きい。などということは、警察は関係ない。
まだ葬儀屋が決まらないのか?的なことを言われた。(今、そちらの説明聞かされて、どこに探す暇があるのよ!!!)
とにかく早く引き取って。匂いが(きつい)ということだ。
慣れてんじゃないの?と心の中でツッコミを入れた。
母・娘・孫の4人でご対面
エイヤー!で葬儀屋を決め、値段交渉までしっかりして依頼することになった。あとでよく考えたら、遺体を冷蔵庫保管してくれる葬儀屋さんにすればよかったと思った。
ドライアイスだけで3万円/日。腐敗が始まっているからだ。
しかも、焼き場が空いていないらしい。
父の遺体を葬儀屋の安置所に運び終えた時には、時刻は午前1時を回っていた。
幼稚園児にはきつい。夕食も食べさせられなかった。
予約したホテルについたと同時に、倒れるように眠りについたのだった。
・・・続く